昔は不眠症なんてなかった

昔は不眠を問題とする人なんていなかった

眠らない街

 

文明は闇を照らして24時間昼間のような明るさを実現しました。

 

それと同時に、睡眠は減らせば減らすほど仕事・学業に打ち込めるものとして切り詰められてきました。

 

不眠不休で働き続ける社会においては睡眠は労働者の活動停止を余儀なくする制約であり、いささか邪魔なものとして扱われるようになったわけです。

 

睡眠は栄養剤のように、いつでもどこでも手早く取れることが理想であり、その証拠に短時間睡眠(ショートスリーパー)に憧れる人は今も多くいます。

 

人間の睡眠時間は文明の発達と連動して過去100年間でどんどん短くなっています。

 

しかも、この数十年でその勢いは加速度的に増しているから驚きです。そんな急激な変化を背景に、ここ数十年で不眠の問題が噴出したわけです。

 

 

慢性的に寝付きが悪い人・夜中に何度も目が覚めてしまう人・夜間寝ているのに日中強烈な眠気に襲われる人などなど・・・

 

いわゆる不眠症で悩む人は増加の一途を辿り、処方される睡眠薬の量もそれに連動するかのように増え続けています。

 

しかし、こういった睡眠問題の噴出は睡眠をないがしろにして、人間の生活から夜を奪い去った文明の後遺症とも言えます。

 

紀元前1700年頃に成立したと言われる古代バビロニアの叙事詩『アトラハシース』には以下のようなことが書いてあります。

 

神々は人類を創ったが、人類はその後増えすぎて地上が騒がしくなり、それで神々の眠りが妨げられたので疫病などの罰を与えた、と。

 

不眠症は文明の発展がもたらしたある種の疫病・・・なのかもしれませんね。

 

不眠が問題としてとらえられるようになった起源

 

今でこそ、眠れない問題は睡眠障害や不眠症といった病名が付けられて社会問題として認識されるようになりました。

 

しかし、眠れないことは昔は問題ではなかったし、病気でも何でもありませんでした。

 

私たちが使う病気としての不眠症が最初に生まれたのは18世紀のヨーロッパと言われています。

 

18世紀のヨーロッパといえば、灯りが広く普及し夜の闇が消えて文明が急速に発展していった時期と見事に一致します。


不眠が原因で起きた有名な事故

 

グローバル化が進み、24時間いつでもどこでもネットワークで繋がった社会は人々の睡眠を脅かしています。

 

そこで暮らす人々は否応なくそれに巻き込まれ、知らず知らずのうちに危険に晒されているのです。

 

深夜や休日に上司から携帯に連絡が入ったので飛び起きて会社に向かった、というのはまさにこの例に当てはまりますね。

 

いくら文明が進んで高度になったとしても、そこで生きている私たち人間の脳は石器時代とさほど変わっていません。

 

そのため、睡眠を切り詰めた上で長時間の過酷な集中を要求される生活を毎日のように送っていれば、そこに綻びが生じるのはある意味当然の話です。

 

そこで、ここではその綻びが原因で実際に起きてしまった歴史的事故を具体的にご紹介していこうと思います。

 

不眠は重大な事故の元

 

まず最初に挙げるのが1979年にスリーマイル島、原発事故です。

 

threemile-island

 

この事故は午前四時に起きたのですが、その原因は深夜勤務の職員が異常を見落としたことにありました。

 

また、1986年に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故は三人いるプロジェクトマネージャーのうち二人が打ち上げまでの三日間、毎日三時間しか寝ていなかったことが明らかになっています。

 

そして三つめに挙げる例が日本で2005年に起きたJR福知山線・尼崎脱線事故です。

 

この事故では運転手が前夜当直勤務であったことから、睡眠不足が注意力の低下を引き起こした可能性も一部から指摘されていました。

 

 

このように、重大な事故の原因ともなる不眠の問題ですが、重大事故だけに限らず、身近な交通事故などもその多くが睡眠不足が原因として挙げられています。

 

特に同じ風景の高速道路を何時間も走り続ける大型トラックや高速バスの事故は大多数が睡眠不足が事故と関連していると言われています。

 

21世紀の睡眠の在り方

 

19世紀までは人間は9時間眠るのが普通でした。

 

ところが、21世紀の現代の世の中では9時間どころか平日7時間も眠れれば上出来という状態になっています。

 

この20年間だけで1時間以上も平均睡眠時間が短くなったという調査結果もあるほどです。

 

これでは事故が起きるのも無理はありません。

 

現代人は睡眠負債を絶えず抱えながら生活しているうちに、高度の緊張と集中を必要とする業務を求められるという過酷な状況に置かれています。

 

いかに効率良く睡眠を取るかということが健康面でも、安全面でも、業績面でも一層重要な社会になっているというわけですね。

 

one-point
ここ20年ほどで24時間営業といえばコンビニはおろか、ファーストフード店やレンタルビデオ店、果てはスーパーまで実に多くの商業施設が24時間営業に舵を切っています。

 

今はまだ表面化していませんが、24時間化の影響はそこで働く人だけでなく、社会全体の生活リズムに大きく影響を与えています。

 

今後、そういった社会の24時間化は私たちにどのようにツケを払わせるのか。考えるとちょっと怖いものがありますね。

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